[C][IOCCC] The 24th IOCCC: Most Diffused Reaction

ref: http://ioccc.org/2015/endoh1/prog.c

#define/**/Alan/**/(fflush(0),j=c=0;++c<b[6]+7;v=b[c]^(b[c+
char*H="close\r\nContent-Type:text/html\r\n\r\n<canvas id=\
'c'width='128'height='128'style='width:256px;height:256px'\
><script>x=y=-1;v=window.c;v.onmousemove=function(e){x=e.p\
ageX-v.offsetLeft;y=e.               pageY-v.offsetTop};w=\
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er';w.onmess"                               "age=function(\
e){c=v.getC"                                 "ontext('2d')\
;b=c.crea"              "teI"                 "mageData(12\
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a.set(u)      ;c.putImageData(b,0,0)            ;u[0]=x/2;\
u[1]=y/2    ;w.send(d.slice(0,x<0?0:             2));x=y=-\
1}</scr"   "ipt>",b[9999];float*e,d[             65536],u,v
,lu,lv,    z;void*f;typedef unsigned              long long
l;l*p,t[  99]={0x67452301,0xEFCDAB89,            0x98BADCFE
,308438*  881,3285377520       },i,j,k           ,n,m[204];
#include        /*io*/          <stdio.h>        /*turing*/
void s(){  ;     for(  k          =0;k++<7 *  2  *9;)for(i=
0;++i<127; )      e=d +  i* 4   +512*k,1[e]      +=(i-u)*(i
-u)+(k-v)* (k- v  )<20?*e+=UV_DROP:0;}l*q=  m,   g=1LL<<32;
l(h)(l v,l (a)){ return(v<<a)|(v%g>>(32-a    )  );}int main
(int c/*ha r*/,  char**y){for(e=d;fgets(b      ,m[97]=480,\
stdin)&&*b >31;  )for( i=j=0;n=b[i],i<18   ?  (l)"sec-webs\
ocket-key: "[i]       ==(n|32):n-32? m[j/4]  |=(j< 24?n:(l)
"258EAFA5-" "E914-47DA-95CA-C5AB0DC85B"     "11\x80"[j-24])
<<(3-j%4)*8 ,++j<61:1;)i++;for(j=3;--j;    ){for(i=4;++i<74
;)i>9?p=q+i- 2             ,p[8]=h(p[5     ]^*p^p[-6]^p[-8]
#define/*hah  aha          <--mouth*/      laplacian(u)l##u
,1):(t[i]=t[9 -i]       );for(p=t+7          ,i=-1;++i<82;k
=*p++,p[2]=h(p[1],5)   +p[-3]+n+     (i/+     20%2?*p^k^p[-
2]:(*p&k)|((i< 20?~*p:*p|k)&p       [-2        ]))+*q++,t[+
81-i]+=(i>76)*     (* p=          h(*           p,30*(i<80)
)))for(;n-k;n=(((               1LL               +(9<<i/20
)/8)<<60)/k+k)/2)             k=n   ;}  for     (i =0;i<57;
i++)i<30?q[i%5*             16/   3+   i/5]   |=t[i%5]%g<<4
>>(30+i%5%3*2-i/5       *6)&   63,0    :(n   =*q++,b[i-30]=
n<62?n-37+"fl!"     [n      /26]:n    *4-    205);for(prin\
tf("HTTP/1.1 "/*    |     */"%d "          "OK\r\nConnecti\
on:%s%.27s=\r\n\r\n"       ,101   +99*!  *m,!*m?H:"upgrade\
\r\nUpgrade:webso"        "c"   "ket\r\nSec-WebSocket-Acce\
pt:",b);e-d<65536 ;      e+=  4)e[1]=(*e=UV_BACKGROUND);for
(;*m;c=0){for(f= c<      2  ?0:fopen(y[1],"r");f&&fscanf(f,
"%f,%f,",&u,&v)>0;)s      ();for(;j<SPEED*4;j+=2)for(i=0;i<
63504;e+=5-j%4*2,z=      TIMESTEP,*e=u+z*(elta_u),e[1]=v+z*
(elta_v),i+=4)for(c=  0;c+2;u=v,v=e[4],lu=lv,lv=e[-508]+*e+
e[8]+e[516]-v*4)e=d+i+512+i/504*8+j%4-c--;for(;n=c%4,65544>
c;c++)putchar(c>7?n>2||(u=d[c-n-7]*4*(n<2?!n?RGB))>255?255:
#define/*x*/Turing(x)4]=getchar()&127))u=v;if(b[6]>1)s();}}
u<0?0:u:c<0?124-c*3:c==5);/* -- The word "genius" is */ for


                 Alan Turing  (1912--1954)

アラン・チューリングの肖像家風のプログラムです。

ビルドはちょっと難しい。

$ clang -O3 -std=c99 \
    -Wall -Wextra -pedantic -o prog prog.c \
    -Delta_u="Du*laplacian(u)-u*v*v+F*(1-u)" \
    -Delta_v="Dv*laplacian(v)+u*v*v-v*(F+K)" \
    -DF=0.040 -DK=0.060 -DDu=0.200 -DDv=0.100 \
    -DUV_BACKGROUND=1,0 -DUV_DROP=-0.5,0.5 \
    -DTIMESTEP=1.0 -DSPEED=2 -DRGB=255:128:192

これで出来た実行ファイルを tcpserver コマンドの上で実行します。tcpserver は inetd の簡易版みたいなコマンドで、ソケットを待ち受けて accept したら引数のコマンドを実行してくれる DJB 謹製ツール*1です。

$ tcpserver 10333 ./prog ioccc.txt

起動したら、HTML5 に対応している最近のウェブブラウザで http://localhost:10333/ に接続します。なんかモワーと動きます。

動画。


解説

アラン・チューリングは、一般的にはエニグマの暗号解読で知られ、計算機科学の分野ではチューリングマシンチューリング完全などで圧倒的に有名ですが、実は他の分野にもいろいろすごい成果を残しています。統計の分野では中心極限定理を証明し(12 年前に証明済みだったけど独立に証明したらしい)、人工知能の分野ではチューリングテストの提案で名を残し、行列の LU 分解もチューリングの考案だそうです。

晩年の業績に反応拡散系というのがあります。これは、自律的にパターンが形成される現象を説明するための数理モデルです。複数種類の化学物質がシャーレなどの中に入れられたとき、物質同士が化学反応して別の物質に変わる「反応」や、単に物質が周りににじみ広がっていく「拡散」がおきます。反応や拡散の式次第で、しましまや斑点、迷路や唐草模様のようなパターンが発現することがあります。*2

ということで、このプログラムは反応拡散系をシミュレーションするプログラムです。反応拡散系のモデルにはいろいろな式があるので、ビルド時に具体的なモデルを指示できるようにしました。それがあの長大なビルドオプションで表現されてます。式を変えるといろいろ動きが変わります。詳しくは remarks を。

で、単に画像や動画を出力するのではつまらないので、WebSocket と HTML5 Canvas を使ってインタラクティブにしてみました。IOCCC のために JavaScript を書くという楽しみ。

戦略と狙い

近年の IOCCC の大作偏重傾向にあってるし、内容的にもハッカー魂をくすぐる系なので、まあ通ると思ってました。審査員の環境でうまく動かないことだけを心配してましたが、問題なかったようで何より。ただ、大作系に迎合してるので、個人的には底まで好みでもない。

製作のきっかけは水族館でノウサンゴを見かけたことです。どういう仕組みでこういう形になるんだろうとか言ってたら @hirekoke さんが反応拡散系を調べて教えてくれたので作ってみました。チューリングにからめたのは後付け。ちなみにチューリング肖像画も例によって @hirekoke さんが描いてます。

反応拡散系はパラメータ設定がとても繊細で、論文のとおりに作ってるつもりでも再現しないのが大変でした。既存の反応拡散系シミュレータ Ready のパターンファイルを参考にしつつ、どうにかいくつか例を作った感じです。

IOCCC において X server 以外で GUI をポータブルに提供する方法を提案する、という狙いもあったのですが、WebSocket のネゴシエーションSHA1 の計算が必要だと判明して、コンパクトに仕上げるのは無理でした。

他の賞についてはまた明日。待てない人は拙著でも読んでて下さい。

*1:ちなみに DJBIOCCC 1991 の優勝者です。

*2:専門でもなんでもないので間違ってたらすみません。